"Creep Wit' Me"(1994) / Ill Al Skratch

Creep Wit' Me: 音楽: Ill Al Skratch

有名なようであまり知られてなくて、少々もったいない'94年作。
'94年のHip-Hopは、(所謂)G-Funkが全盛、R&BはHip-Hop Soulが主流になっていた頃で、全体的に「メロウ」な音が求められていたのです。 Aaliyah他がカバー/ネタ使いしてThe Isley Brothersが再評価され始めたのもこの頃だし。

G-Funk風なアナログシンセの“飛ばし”が印象的だった#2.'Where My Homiez?'のシングルヒットを受けて作られたこのアルバムは、「Hip-Hopであることを踏まえた上でのメロウネスと歌心」が全篇に溢れていて、今聴き直しても、全然古臭さを感じさせないと思うのだけれど。

Mary J. Bligeとほぼ同時期に'You're So Good To Me' / Curtis Mayfieldをネタに使って、Brian McKnightのファルセットが漂う#4.'I'll Take Her'*1とか、定番'In The Mood' / Tyrone Davisの上にTawatha Agee(ex.:Mtume)が熱いフェイクをぶつける#8.'Get Dough'など、全体的に歌心いっぱいでスムーズなR&Bテイスト。けど、ラッパー二人のラップは、ゴツゴツしていて、熱くて、良い意味で「B級」。 …まぁ、B-Boyの"B"には「B級」の意味もあるしね(?!)。

「Hip-Hopを知る上で絶対外せない名盤」って訳じゃないけど、機会があれば是非。 中古屋では3桁で買えると思うし…。*2

*1:Universal Music GroupがYouTubeにPVを提供していた YouTube - Ill Al Skratch - I'll Take Her: MTV Version

*2:2001.06.30に書いた文章を手直ししたものです。