"Dreamgirls"(2006)

Dreamgirls: 音楽: Original Soundtrack

'06年の話題のサントラ。 正直、Beyonceのキャリアアップのためのワンステップ、として作られた感も強いのですが、蓋を開けてみれば、出演陣の持ち味と、脚本、演出、音楽が、(奇跡的、かつ有機的に)噛み合った、一世一代のエンターテイメント絵巻に仕上がったのでした。 この映画によって、Beyonceは、この映画のモデルとなったDiana Rossに比肩する、老若男女白黒問わず愛される、歌って踊って演技も出来る、世界的大スターへの第一歩を踏み出した、と、将来振り返った時、そう言えるマイルストーン的な作品と言えるんじゃないでしょうか。

曲のアレンジ/プロデュースはThe Underdogs。 なのにCDにも、映画の最後のクレジットにも"Music By Henry Krieger"と…。 それだけオリジナルのステージ版の音楽を踏襲している、ってことの証ですかね。 とは言え、音を聴けばすぐ分かる通り、かなり神経を使った仕事だと分かります。

「皆が親しんだステージ版を壊さないように、'60sの雰囲気を今の人間に分かるように、映画のオリジナルを作る」と言うのは、想像しただけで気の遠くなる作業だと思うのですが、彼らはやってのけた、と。 まぁ、正統派ソウルミュージックを生かしつつ、今の音響/タイム感にも耐えられるようにアレンジする、なんて芸当、彼らにしか出来ないんですが。 逆に言うと、今だと、少々ベタに感じられてしまう彼らの曲作りの才も、'60s〜'70s風の音作りの中では、実に映えるんです。

細かいクレジットはWikipedia*1に詳しいので、そっちを見て欲しいんですが、この映画のために作られた曲がとにかく素晴らしいので、是非2枚組みの完全版を聴いて欲しいですね。 劇伴とは言え、聞き逃し厳禁な、良い曲、良い声、良い歌、それを支える堅実なアレンジ、とっくに失われてしまった、オーソドックスなソウルが、現在に生き返った、と言いたくなる程です。