"Prince"(1979)

愛のペガサス: プリンス: 音楽

邦題『愛のペガサス』が、今となっては微苦笑を誘うのですが、音を聴くと、そう間違ってない、と思えてくる位、全体的にメロウ&ロマンティックな1枚なのです。

1stアルバムのセールスがイマイチだったPrince(以下"殿下")が、「俺だって、ヒットなんて簡単に出せるぜ!!」と思ったのかは、今となっては謎なんですが、それ位、当時のヒット曲のフォーマット、即ち「ディスコ」と「AOR」に則した、(一見)分かりやすい楽曲が並びます。 ポップなダンスナンバー#1.'I Wanna Be Your Lover'や#8.'I Feel For You'は勿論、ギターをかき鳴らす#2.'Why You Wanna Treat Me So Bad?'や#6.'Bambi'も、ソリッドなディスコ・チューン#3.'Sexy Dancer'も、実に聴きやすくポップな印象です。

それが故にと言うか、この盤、殿下の本質「傷つきやすく、寂しがりやな僕、でも、君だけには分かって欲しい」が、特にミディアム/スローな楽曲#4.'When We're Dancing Close And Slow'や#5.'With You'、#7.'Still Waiting'、#9.'It's Gonna Be Lonley'で大全開になります。 次作*1以降露になる、エキセントリックだったり、攻撃的だったりする部分は、全くないのですが、だからこそ分かる本質と言うか。 この時点で、ヴォーカル/リズムアレンジの才覚/イントロ〜リフ作りの上手さは完成されているので、殿下の音楽を知りたいなら、この盤、必携でしょう。