"1999"(1982) / Prince

1999: Prince: 音楽

前々作*1、前作*2に露だった、エキセントリックで、露悪的で、攻撃的な部分は抑制され、ポップなダンス/ソウルフルな側面が強調され、大ヒットを記録した、2枚組みアルバム'82年盤。

今になって思うと、一旦トリックスター的な振る舞いで、耳目を集めておいて、その後に、ポップな部分を前面に押し出してみせる、と言う、殿下流の戦略だったのですなぁ。 世間はまんまと引っ掛かった訳ですが。

殿下の、それまでのアップナンバーは、ドンパンドンパン(?!)の、オンビートな直接的な物か、ちょっとヒネっても8ビート的な楽曲だったのです。 しかし、このアルバムでは、Wendy & Lisaをはじめ、強力なバンド・メンバーを揃え、腰の据わったファンク・ナンバーを繰り出しているのです。

シングルカット予定のポップな楽曲は、最初の3分程度はおとなしい、シンプルな8ビートなのに、後半は、ミュージシャンの自発性に任せた、タメの効いたファンク・ジャムに突入するのが、当時の殿下流儀と言うか。 #1.'1999'や、#2.'Little Red Corvette'、#6.'Automatic'、#9.'Lady Cab Driver'はその典型ですが。 そのため、1曲が比較的長いのですが、その長さを楽しめるのが、この盤なのです。