"Purple Rain"(1984) / Prince & The Revolution

Amazon.co.jp: パープル・レイン: プリンス&ザ・レヴォリューション: 音楽
前作*1で、ファンク/ディスコの先鋭として、ポップチャートを制覇したPrince(殿下)が、ブラックとロックの聴衆が分かれてしまった'80sの音楽事情を逆手に取り、「スタジアム・ロック」時代の到来を迎えた年(前年Bruce Springsteen*2とJourney*3が大ヒットし、この年Bon Jovi*4がデビューする)に、ロック的意匠で武装し、「先鋭的なロックシンガー」としてポップチャートを再び制覇した盤、と言えるでしょう。
とは言え、ギターを掻き鳴らしながらも、随所にキャッチーなフックがあり、そして8ビート主体ながらも、やはり「ファンキー」なタメを忘れない、だからこそ以前からのファンを逃さず、新しい層も取り込めたのでしょうね。 特にクールなリズムに、激しくギターを弾き倒す#4.'Computer Blue'、#6.'When Doves Cry'は、このアルバムのハイライトだと思うし、ディスコ調のビートを上手くロックの中に溶け込ませた#7.'I Would Die 4 U' / #8.'Baby I'm a Star'を経て、大団円を迎える#9.'Purple Rain'*5、流石の構成です。
一応、殿下主演の映画のサントラなのですが、映画を観ていなくても、「'80s初期のロック」のサントラとして聴くことも可能なこの盤、やはり必聴でしょうね。

*1:"1999"(1982) / Prince - bitter*smooth @ hatena

*2:Born In The U.S.A. - Bruce Springsteen '83年

*3:Separate Ways (Worlds Apart) - Journey '83年

*4:YouTube - Bon Jovi - Runaway '84年

*5:この1曲の中に、殿下が影響を受けたDavid Bowie、さらに遡ってBob Dylan、Elvis Presly、そしてJimi Hendrix、Santanaというギター・ヒーローの要素までも無理なく溶け込ませ、「殿下の音楽」としか言えない音楽にしてしまう、しかもチャートを独占、と言う唯一無二の芸当、今から思うと脅威です。